アミジグサ

アミジグサ目 アミジグサ科

Dictyota dichotoma (Hudson) Lamouroux

アミジグサは初春から夏にかけて,潮間帯下部から漸深帯上部の岩上に生育し,神戸周辺では淡路島の沿岸や舞子で観察される.藻体は規則的に二叉分枝する薄い膜状で,中肋はなく,黄褐色から褐色で,高さ30cm程度になる.基本的に一年生だが,基部付近の一部は越年すると考えられる.藻体は1個の顕著な頂端生長点細胞をもち,断面 では1層の無色で大きな細胞からなる内層と,やはり1層の多数の葉緑体を多数含んだ小さな細胞からなる皮層から構成される.

アミジグサを含むアミジグサ目の種は基本的に同型の生活史を示し,外観上はほとんど区別 できない胞子体(複相世代)と配偶体(通常雌雄異株)の間で世代交代する.成熟すると胞子体には四分胞子嚢が,配偶体にはそれぞれ造卵器と造精器が形成されるが,自然下では四分胞子体の方が多く見られる.このため有性の生殖器官が観察されることは比較的まれであり,また造卵器は四分胞子嚢と区別 がつきにくいことが多い.フクリンアミジサナダグサと外観上良く似ているが,断面 の構造で比較的容易に区別できる.

生態

さく葉標本

頂端部表面 観

藻体の先端には1個の頂端生長細胞がある.

頂端部表面 観

藻体は頂端生長細胞が横方向に分裂し,それぞれが生長を続けることで2叉分岐する.

縁辺部表面 観

フクリンアミジと異なり縁辺部は厚くならない.

縁辺部断面

中央部も縁辺部も断面で1層の内層細胞列と皮層(両側に各1層)から構成される.

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