マクサ

テングサ目 テングサ科

Gelidium elegans Kuzing

マクサは潮間帯下部から水深10m程度の漸深帯まで広い範囲に生育し,神戸周辺では淡路島の沿岸,舞子から神戸港周辺を含む広い範囲に分布する.藻体は細い線状で,数回羽状に分枝し先端はやや円柱状になる.枝の付け根はくびれない.ふつう叢生し,高さ20cm程度に達する.マクサは寒天の原料となる海藻であり,マクサの含まれるGelidium属の種類を総称して「テングサ」と呼んでいるが,テングサという単独の種はない.マクサは形態が大きく変わるため,ヒラクサオバクサなどとの区別 が難しいことも多い.

マクサを含むテングサ類は無性の胞子である四分胞子を生ずる胞子体(複相)と,それぞれ雌性と雄性の生殖器官を生ずる配偶体が観察され,外観上はいずれもよく似ている.これは緑藻類や褐藻類では同型の世代交代と呼んでいる状態と同じだが,テングサ類をはじめとする紅藻類では雌性の生殖器官(造果 器)からすぐに雌性の生殖細胞(卵など)が放出されるのではなく,雌性配偶体の藻体の中で受精し,さらに雌性配偶体から栄養分を受け取って発達した後に,次の世代(胞子体)を作る胞子(果 胞子)を放出する.この雌性配偶体上の世代(受精を終えているため複相)は,配偶体とは見なせず,そのため果 胞子世代という特別な名前で呼んでいる.したがって,この場合3つの世代(胞子体世代,配偶体世代,果 胞子体世代)の間で世代交代していることになる.

生態(水中)

生標本

さく葉標本

藻体断面では不規則な大きさの髄層細胞が密に並び,皮層は1-2層の細胞層からなる.

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