Quantum Dot

In-situ Observation of InAs QD Growth by Reflectance-Difference Spectroscopy

反射率差分光(RDS)は成長中の結晶表面にほぼ垂直に直線偏光させた白色光を入射し、結晶表面からの反射スペクトルを分光します。偏光の検出は光弾性変調器を使って入射光の偏光に対して±45度の成分を交互に取り出し、ロックイン検出によってその差分を計測します。実験では入射光の偏光を[100]にとり、検出は[1-10], [110]で差をとりますので、バルクがGaAsのように等方的であれば、RDS信号は表面ダイマの構造を非常に強く反映します。この分光技術を用いて固体ソース分子線エピタキシ成長しているInAs/GaAs量子ドットの表面構造を成長その場で評価しました。Asダイマに起因する2.6eVのRDS信号をInAsを供給しながら観測すると、過剰Asダイマに起因する負の信号が正に反転してき、やがて飽和し出すところが量子ドットの形成が開始点と一致することを発見しました。また、スペクトル解析より2次元ぬれ層にはInGaAsの合金の相があり、In-Inダイマをもつ構造であることを初めて見いだしました。

Sranski-Krastanov Growth of (In,Ga)As Quantum Dots by Controlling the Wetting Layer

GaAs(001)基板上のInAs量子ドットはSK成長機構によって自己形成します。この場合、まず最初に形成される2次元ぬれそうの上に、あるいは、2次元ぬれそうも巻き込んで3次元島構造を形成しますので下地のぬれ層の影響を強く受けます。一方、2次元ぬれ層は成長条件によって多様な相を持ちます。いくつかの条件を変えた成長したぬれ層と量子ドットの発光特性はIn組成の違いを反映することを明らかにし、成長条件による発光特性の制御が可能であることを実証しました。

Polarization Independent Optical Transitions in QDs

ネットワークとネットワークのつなぎ目、すなわち、ノードは、ネットワークの規模拡大、精細化に伴い、飛躍的に増えると予想されます。光通信波長帯域で光の増幅のみならず波形整形、タイミング再生、識別再生の機能を全て光領域で行う機能的な中継デバイスの実現は次代の光ネットワークには不可欠です。しかし、これまでの半導体中継器では出力光に入力光にはない偏光特性が加わることが、実用化の大きな障害になっています。半導体量子ドットは低次元構造による高効率なデバイスを実現できることに加え、形状制御の自由度を持ちます。われわれはこれに注目して、積層量子ドット成長による擬似的な形状制御を実現し、偏光無依存な発光を引き出すのに成功しました。

Control of InGaAs Capping Layer Induced Optical Polarization of InAs/GaAs QDs

量子ドットからの偏光した発光は、形状だけでなく、ドットに加わる歪みにも大きく依存します。InGaAs量子ドットをGaAs(001)基板に成長した場合、その形状は結晶ファセットで囲まれた幾何学的な面を出しています。このドットをGaAs等でキャップしますと原子の拡散によって形状がぼやけてしまいますが、やはりドット形状は異方的です。この異方的な形状が発光偏光特性の原因でもありますが、逆に、これを利用して、ドットに加わる歪みを制御すれば、ドット頂上付近では不均一形状による軽い正孔バンドの上昇が期待でき、偏光異方性を解消する方向に働きます。われわれはInAs量子ドットをIn濃度の異なるInGaAsでキャップして歪みを制御し、量子ドットからの発光偏光特性を制御できることを実証しました。

Nitridized InAs QDs for Optical Communication Devices

光ファイバー損失の少ない、1.3micro-mバンドと1.55micro-mバンドは光通信のターゲットになっている波長帯です。この波長帯で動作する、レーザや光アンプ、特に量子ドットデバイスの実現は次代の光ネットワークを担うと期待されています。通常、1.55 micro-mバンドのデバイスはInP基板上に作製されていますが、この基板は大変高価で、大規模フォトニック・ネットワーク構成の障害になります。そのためには、安価でプロセス技術の確立しているGaAsをベースにした新規な材料開発が望まれます。われわれは、原子状窒素を原子レベルで制御して量子ドットに“振り掛ける”新しい手法を開発し、一気に1.3micro-m光通信波長での発光を実現しました。