Atomic Ordering in Semiconductor Alloys |
エピタキシャル成長した合金半導体は、規則配列して“自然”に超格子構造を創ることがあります。われわれはこの規則度を新しい物性制御因子として利用できることを見出しました。DVDレーザに用いられるGaInPは当初、自然超格子発現によってレーザ発振波長が設計できない状況にありましたが、この規則度の制御によって実用化に至りました。また、規則化制御で間接遷移型半導体を直接型に変換できることを初めて証明しました。オーダリング材料において発見したその他の新しい機能の詳細については、以下の内容が詳しくなっています。 | ![]() ![]() |
GaInP自然超格子は super lattice 構造により価電子帯頂上の縮退が解け、重い正孔バンドと軽い正孔バンドが</SPAN>室温エネルギー(26meV)以上に分離しています。この特徴を用いれば、室温で十分応答するスピン偏光制御が可能になります。この研究では、GaInP自然超格子で初めてスピン偏光特性を見いだすとともに、そのダイナミックスを明らかにしました。 |
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合金半導体自然超格子はエピタキシャル膜全体にわたって均一に広がっているのではなく、規則度(オーダーパラメター)の異なるドメイン構造になっています。このドメイン構造はポテンシャルの空間変位の原因となり、デバイス特性に大きな影響を与えます。ポテンシャル揺らぎが引き起こす、励起キャリアのエネルギー緩和特性を明らかにするため、超高速時間分解計測によりフォトルミネッセンスの時間発展を追跡しました。その結果、構造に由来する遅い緩和チャネルを介した緩和プロセスを明らかにしました。 | ![]() |
AlGaInPはAlの組成が0.5以上で間接遷移型半導体ですが、自然超格子を形成しますと、超格子によるバンドの折り返し効果によって、直接化します。この材料を選択共鳴励起したとき、シャープな発光線が現れることを発見しました。この発光線のセットは合金のフォノンエネルギーと完全に一致し、非弾性散乱によるエネルギー緩和が生じていることを示しています。これは量子ドットで見いだされているエネルギー緩和特性に酷似しており、不均一な規則化に伴うドメイン構造が量子化したエネルギー状態を創り、それが、今回の場合、X谷バンドと共鳴したためであると考えています。 | ![]() |
GaInP自然超格子とGaAsのシングルへテロ構造に、GaAsのみを励起するような赤外光を入射しますと、励起されたキャリアのエネルギーアップコンバージョンによってGaInPからの可視光(赤)が発光することを見いだしました。同様にAlGaInP/GaAsにおいてもアップコンバージョンによる明瞭な緑色発光を発見しました。アップコンバージョン光の強度はGaAsのフォトルミネセンスの2%にも達しました。これはヘテロ界面に形成される自然超格子材料特有の準位に起因することがわかりました。 | ![]() ![]() |
GaInP自然超格子は結晶の対称性がR3mとなっているため、自発分極が生じています。そのためヘテロ界面には大きな電界が加わり、高濃度の電子が蓄積することになります。これは、今日、高移動度トランジスタに見られるエネルギー状態と同じで、かつ、自然に形成されたものですから、非常に実用上の意味は大きいと考えます。詳細な磁気ルミネッセンス測定より、明瞭なシブニコフ・ドハース振動を観測するのに初めて成功しました。このことは極めて良質な2次元電子ガス状態が存在することを示したと言えます。 |