天然有機分子化学研究室神戸大学 大学院農学研究科 生命機能科学専攻 応用生命化学講座 |

研究概要
生物活性天然物の合成研究

ヒカリカモメガイの発光基質に関する研究
ヒカリカモメガイの発光タンパク質(フォラシン)は活性酸素種の刺激によって発光します。フォラシンはデヒドロセレンテラジン(DCL)と結合したクロモフォア(発光を司る化学構造)を形成しており、このクロモフォアが酸素と反応して青色に発光しています。

写真:ヒカリカモメガイは岩に穴を掘って暮らし、管状の器官の中に発光器がある。刺激により青色に発光する。
フォラシンの発光基質の構造は長年不明でしたが、我々は発光機構がトビイカの発光タンパク質(シンプレクチン)と類似していることに着目し、DCLが発光基質ではないかと推測しました。実際にフォラシンからDCLを誘導体として単離し同定することに成功し、さらにDCLを添加したフォラシンの発光スペクトルがヒカリカモメガイの発光スペクトルと一致したことから、フォラシンのクロモフォアもDCLで構成されていることを明らかにしています。

図:デヒドロセレンテラジンがタンパク質と結合しクロモフォア(発光を司る化学構造)を形成している。これが酸素と反応して青色に発光する。
現在、様々なクロモフォア誘導体を化学合成し、この発光機構の詳細を解明するための研究を進めています。