学生の皆様へ

知能システム創成学分野では、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems:マイクロマシン)技術を通して、従来にはないマイクロ・ナノサイエンス&エンジニアリング領域の最先端学術分野の研究を推進しています。 次世代に役立つマイクロマシン技術の新創造をコンセプトに、ナノスケール半導体材料の新開発から、センサ・アクチュエータ応用デバイスの新創成、バイオ・ケミカル、医療など、マイクロ・ナノエンジニアリングが活躍する幅広い分野を対象にしています。 研究室では、世界に通用する最先端研究の実践を目指しています。例えば、MEMS技術を用いた新しいナノ半導体材料の物性評価研究については、既に世界的実績を有しており、複数の欧州研究機関と国際共同研究を推進しています。 また、バイオ・ケミカルMEMS研究では各種学会賞を獲得し、この実績に基づいて企業との共同研究が開始されています。

これらの研究は、機械工学、とりわけ「材料力学」「機械力学」「流体工学」をベースに「物理学」や「半導体工学」を組み合わせながら、研究室メンバーが協力しあって進められています。 このため研究室には、MEMSの理論設計・製作から計測・評価までを一貫して実践することができる研究環境が整備されています。

学生の皆さんには、これらの研究を通して、将来、国際的レベルでも充分に通用する高度専門技術者や研究者として必要になる、実践的学力、課題解決能力、論理的な考え方を修得してもらうことが第一の目標になります。 世界的最先端研究を実践したい人、成績はともかく好奇心と探求心が旺盛な人、新しいことにチャレンジしたい人、課題解決の手法を学びたい人などは、是非見学しに来て下さい。

Reserch fields

詳しくはResearchをご覧ください。

(1)低次元ナノ半導体マルチフィジックス特性解明の挑戦

ナノメートルスケールまでダウンサイジングされた半導体ナノ材料は、バルク材料とは異なる特性を発現します。
とくに、一次元構造であるナノ細線は、巨大な弾性歪み場においても破壊することなく、電気的、磁気的、熱的、光学的特性が大きく変化することが予測されており、 次世代の高性能マイクロデバイスの機能素子としての利用が期待されています。そこで本研究では、MEMS技術を用いて、半導体ナノ細線単体での巨大歪み場での物理特性の解明を目指します。

◆MEMS技術を応用したナノ材料機械・電気特性評価
◆C系NW(カーボン系ナノワイヤ)の機械・電気特性評価
  1. FIB-deposition カーボンナノワイヤの機械・電気特性評価
  2. 多層カーボンナノチューブの機械・電気特性評価
◆Si系NW(シリコン系ナノワイヤ)の巨大弾性歪み場における物性解明
  1. 単結晶Siナノワイヤの常温〜中温度領域における機械特性評価
  2. VLSボトムアップ成長n型Siナノワイヤの機械電気特性評価
  3. トップダウン成形したp型単結晶Siナノワイヤのせん断ピエゾ抵抗効果の解明
  4. VLSボトムアップ成長Core-Shell & 3C-SiCナノワイヤの巨大歪み誘起物性の解明

(2)低次元ナノ細線材料の新創製

主に,低次元ナノ細線材料であるカーボンナノチューブ、シリコンナノワイヤの創製技術を確立しています。例えば、 VLS-CVD法*によるシリコンナノワイヤ成長技術を独自の装置で開発しています。
*VLS-CVD法:Vapor-Liquid-Solid Chemical Vapor Deposition

◆密度制御カーボンナノチューブ成長技術の確立
◆VLS-CVD法によるシリコンナノワイヤ成長技術の確立

(3)MEMS応用デバイスの新開発

各種マイクロ応用センサ・アクチュエータデバイスを開発しています。とくに、ナノ材料を融合した新機能デバイスの開発を推進しています。

◆低コスト・大気中ナノ描画装置専用の自己駆動式マルチカンチレバーアレイの開発とナノパターニング技術の確立
◆硬質・軟質表面トポグラフィ計測のためのアクチュエータ搭載可変長SPMカンチレバーの開発
◆水素ガス微量検出に向けたCNT集積MEMS共振型ガス種識別センサデバイスの開発
◆低侵襲医療用MEMS触覚センサの開発

(4)プラズモニックナノ構造の作製と高感度センサへの応用

金ナノ粒子合成やナノ粒子配列技術を駆使して,プラズモニックナノ構造の作製技術を推進しています。さらに,それを応用して,1分子検出感度を有する表面増強ラマン分光(SERS:Surface Enhanced Raman Spectroscopy)技術を開発し,バイオ・ケミカル分析への応用を進めています。

◆金ナノ粒子合成のための高速2液混合マイクロリアクタデバイス
◆ナノ粒子配列技術
◆金ナノ粒子配列を用いた表面増強ラマン分光(SERS)によるバイオ・ケミカル分析技術
◆金ナノ粒子直鎖配列を用いた表面増強ラマン分光(SERS)マイクロ・ナノ流体デバイス
◆金ナノ周期構造による光熱変換を用いたレーザ波長計測MEMS振動子デバイス


*その他,国内外の研究機関とマイクロ・ナノマシンに係わる共同研究を推進しています.