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生体内分解性インプラントに関する研究

向井敏司 教授
池尾直子 助教

金属材料は長期間にわたり高強度を維持するため、事故や疾患により治療が必要となった生体組織の支持および固定用のデバイスなどとして、医療現場で数多く使用されています。 例えば、チタン合金は強度、耐食性、生体親和性が高く、組織固定用のクリップ、骨接合プレートや人工股関節などのデバイスへ適用されています。 一方で、生体組織が修復された後には人工デバイスは不要であり、CT撮像に支障を生じることや炎症の原因となってしまうことから、 時間の経過と共に生体内で分解され、体外に排出される生体内分解性デバイスが最近注目されています。そこで、この研究課題では生体必須元素であり、生体内分解性を示すマグネシウムおよび亜鉛に着目して、組織固定用デバイスなどへ応用するための研究を実施しています。具体的には、デバイスの材料と形状についての最適設計、モデルデバイスの試作、医学研究者との共同実験による性能検証などを実施しています。

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医療用デバイスのテイラーメイド加工に関する研究

白瀬敬一 教授
西田勇 准教授

医療用デバイスのテイラーメイド加工のために、歯科補綴物の3次元CADモデルから数値制御工作機械の加工用プログラムを自動的に生成する手法を開発している。大量生産される工業製品と違い、一品生産される医療用デバイスでは、加工用プログラムを人手で作成していたのでは、膨大な時間とコストを要してしまう。機械加工用の工具経路を計算するだけではなく、切削加工のシミュレーションを行って加工中に工具が折損しないように加工条件を調整している。自動的に生成した機械加工用のプログラムで加工実験を行い、工具が折損することなく加工時間も80%削減できることを確認した。

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血流数値シミュレーションに関する研究

冨山明男 教授
林公祐  准教授

血管中の血液の流れを数値シミュレーションで調べる研究を行っています。左図はTOF-MRA画像から再構成した脳動脈瘤モデルを用いて流れをシミュレートした例です。脳動脈瘤は破裂するとくも膜下出血を引き起こし、高い確率で死亡してしまう、あるいは後遺障害が残ってしまう危険があります。そのためクリッピングなどの手術が施されますが、なかには成長しにくい動脈瘤もあり、成長のしやすさや破裂の危険性と血流との関係を把握できれば、患者負担の大きい手術の必要性をより正確に見極められる可能性があります。本研究では、神戸大学医学部脳神経外科 甲村英二教授・木村英仁助教のグループと連携して脳動脈瘤近傍の血流を把握するための数値シミュレーションツールの開発・応用に取り組んでいます。

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低侵襲医療用微小3軸触覚センサに関する研究

磯野吉正 教授
菅野公二 教授

カテーテルは低侵襲医療機器として血管拡張用バルーンやステントによる治療のために広く用いられています。カテーテル先端にはガイドワイヤが取り付けられており、それが先行して挿入経路を作り出し血管内を移動することでバルーンやステントを患部へ運ぶことができます。しかし、血管への挿入の際に血管壁を損傷してしまう問題が発生しています。ガイドワイヤ先端位置をX線画像から判断していますが、ガイドワイヤ先端と血管との接触状態は医師の手先の感覚に頼るのみとなっています。安全性の高い低侵襲手術を実現するために、ガイドワイヤ先端にかかる荷重を検知しながら手術できるシステムの構築が強く望まれています。そこで、我々はMEMS(Microelectromechanical Systems)技術を用いた微小3軸触覚センサに関する研究を推進しています。このセンサはシリコン(Si)のMEMS加工技術により作製され、直径0.32mmと非常に小さいことが特徴です。センサはガイドワイヤの先端に取り付けられ先端に加わる力を計測することができます。3軸方向の力を検知でき、ガイドワイヤと血管の詳細な接触状態がわかるため、カテーテル挿入時の事故防止が期待できます。

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器用なマニピュレーションや遠隔操縦に関する研究

横小路泰義 教授
永野光 助教

人のように器用な操りをロボット化するのは難しく、未だに人間の器用さに比肩するロボットハンドは実現できていません。我々は、「折り紙作業」を題材とし、柔軟で挙動が予測できない折り紙を人は何故器用に操れるのかを理解し、ロボットにそのような器用な動作を実現しようとしています。一方、極限環境での作業を人が遠隔から操作する場合においても、人が本来持つ器用さを十分発揮して作業をすることは容易ではありません。そのため我々は、操縦者が意のままに操れる高臨場感な遠隔操縦ロボットを実現するために、遠隔操縦のためのロボットの制御法や操縦者への感覚フィードバック、ヒューマンインタフェースに関する基盤的な研究を進めています。これらの研究は、医療ロボット用の器用なハンドの実現や遠隔操縦型手術ロボットの開発にもつながることが期待されます。

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振動流バッフル反応器による精密反応解析

大村直人 教授

医薬品等を生産するファインケミカルの分野には、多くの高速な化学反応が存在します。一般的な回分式反応器では高速反応の反応速度解析を行うことは困難なため、通常は微細な流路を持つ連続式反応器のマイクロリアクターが用いられます。2流体界面の拡散によって物質輸送が達成されますが、流れは層流であり、流路の径方向への混合は起きません。また、反応器内の滞留時間に分布が生じてしまうことから、通常のマイクロリアクターでは性能として不十分です。振動流バッフル反応器は、流路内にバッフル(縮小流路)を等間隔で複数配置し、さらに、流通流量に加えて、前後に振動する流れを与えます。これにより、バッフル前後に渦流が発生し、層流でありながら半径方向の迅速混合を誘起するとともに、軸方向への混合を極力抑えることができます。つまり、非常に押出し流れ性能の高い連続式反応器といえます。すでに、マイクロメートルスケールの振動流バッフル反応器を用いて、複雑な反応経路をもつ高速反応の反応速度解析に成功しています。その他、振動流バッフル反応器は、回分式プロセスを連続式プロセスへと転換する際に非常に有効であるため、連続式晶析装置の性能検証なども実施しています。

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生体流れの計算バイオメカニクスに関する研究

今井陽介 教授
石田駿一 助教

血液の流れや呼吸、食物の消化など、生体要素の役割は流れと密接に関係しています。流れの小さな変化が病気の原因となることも少なくありません。しかしながら、生体内の流れを実験的に観察することは困難です。我々は、生命現象を力学法則に基づいて数理モデル化し、大規模な数値シミュレーションによって、生体の機能や病気のメカニズムを解明しようしています。生体内の流れは複雑です。例えば、血液は赤血球を始めとする細胞の懸濁液であり、胃や腸の中を輸送されるものは固体・気体・液体全てからなる食物です。流体力学だけでなく、固体力学や生化学を連成し、統合的な力学場として解析する必要があります。我々は、世界最先端の数値解析技術を駆使してこれを実現し、消化器系の生体流体力学、マラリアやがん転移の計算バイオメカニクスなどの研究分野を開拓しています。

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選択的抗ガン活性を示すゲルに関する研究

丸山達生 教授

私たちは世界で初めて、ガン細胞の選択的死滅(抗ガン活性)を合成分子(低分子ゲル化剤)の細胞内での自己組織化(ゲル化)により達成可能であることが示しました。従来の生理活性物質(抗がん剤含む)のほとんどは、薬剤分子単体で阻害効果等の薬理活性を示しておりましたが、単体では特段の機能も示さない分子が集まり、細胞内で自己組織化することで新たな生理活性を生み出せることがわかってきました。このことは、創薬や疾病治療においてこれまでと大きく違ったアプローチが可能であることを示唆しております。
 現在私たちはこの低分子ゲル化剤をさらに発展させ、より高いガン選択性かつ副作用の少ない抗ガン活性を目指して研究しております。またガンのみならず、ゲル化を用いた選択的な抗菌活性の作出等も研究し、合成分子によるゲル化あるいは合成分子の自己組織化による新たな生理活性創出を目指しています。

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金属系生体材料の疲労強度評価に関する研究

塩澤大輝 准教授

医療機器として、人工関節やボーンプレートなどに金属系生体材料が多く使われています。金属材料では小さな力であっても繰返し作用するとやがて破断する疲労という現象が現れます。飛行機や鉄道などの構造物では疲労が生じないように、使用する材料の疲労に対する強度を評価して使用されています。生体内では大気環境と比べて、化学的および生化学的因子の影響により、疲労強度が低下します。長期間にわたって金属系生体材料を安全に使用するためには、生体環境下での材料の疲労強度を評価する必要があります。本研究では、赤外線サーモグラフィや放射光CTイメージングを用いて、疲労き裂の進展特性の評価やき裂の発生メカニズムの解明に関する研究を実施しています。

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生体適合性ソフトマテリアルに関する研究

大谷亨 准教授

生体適合性材料は、多様化する医療現場の要求を満たす上で益々重要性を増しています。医療用途に合わせて材料形態を溶液、ゲル、結晶・非晶固体などに自由に設計することができれば、その波及効果も大きくなると予想されます。 例えば、難水溶性薬物を溶解する水溶性の溶解剤、腫瘍組織に応じて設計された標的指向性の高いナノ粒子、術後の組織癒着防止に鑑みたin situゲル化能を有する高分子溶液、力学特性に優れかつ細胞から組織への分化誘導能に優れたヒドロゲルなどは、医療現場の要求に応じて材料設計することが理想的です。そこで、これら医療現場への波及に鑑みた、生体適合性材料の合成から機能評価までを行い、バイオマテリアルとしての意義を追求しています。具体的には、天然多糖を組み合わせた自己修復ゲル、相分離現象を利用した生理活性分子の安定化と放出制御、超分子構造を有するナノ粒子・溶液、および生分解性材料などの開発を進めています。

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