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高等学術研究院教員紹介
教員詳細
- 石原 暢ISHIHARA Toru
- 人間発達環境学研究科 准教授
研究内容
日本を含む先進諸国では、経済発展に伴う利便性の高い生活と引き換えに、不健康なライフスタイル(身体不活動、睡眠不足など)が蔓延しています。不健康なライフスタイルは心血管疾患、がん、糖尿病などの非感染性疾患の罹患リスクを上昇させることが広く知られています。それでは、脳の健康に対してはどのような影響を与えているのでしょうか?この問いに答えるために、子どもから高齢者まで幅広い年齢層を対象に、ライフスタイルと認知機能の関係を調べる研究を行っています。これまでの研究により、健康的なライフスタイルは子どもの認知機能の発達を促し、中高齢期の認知機能の衰退を緩やかにすることが示唆されました。現在は、ライフスタイルが認知機能に影響を与える神経機構について、磁気共鳴画像法、機能的近赤外線分光法などの脳画像法を用い、脳の解剖学的・機能的変化から明らかにすることに取り組んでいます。
今後の抱負
今後は、研究成果の社会実装を視野に入れながら、ライフスタイルが脳に影響を与える機序をより深く探求していきたいと考えています。具体的には、ライフスタイルが脳に影響を与える分子レベルの仕組みとして、近年エピゲノム分野で注目されているDNAのメチル化という現象に着目します。DNAのメチル化は、遺伝子の配列を変えずにその働きを調節する仕組みの一つです。脳画像法は、脳の構造や機能を非侵襲的に調べることができる優れた手法ですが、多くの費用と時間がかかるため、単独で社会実装に活用するには限界があります。一方、DNAのメチル化は唾液や頬粘膜細胞など、比較的簡単に採取できる生体組織から情報を得ることができます。これらの手法を組み合わせ、ライフスタイルと脳の健康をつなぐ分子レベルの中間因子を明らかにすることで、研究成果の社会実装につながると考えています。将来的には、簡便に取得できる生体試料から脳の健康状態を調べ、その維持・増進に効果的なライフスタイルをフィードバックする手法の開発に発展していくことを期待しています。
研究略歴
- 2024年7月
- 神戸大学大学院人間発達環境学研究科 准教授
- 2024年7月
- 神戸大学高等学術研究院 卓越准教授
- 2020年4月
- 神戸大学大学院人間発達環境学研究科 助教
- 2019年11月
- 北海道大学環境健康科学研究教育センター 特任助教
- 2019年4月
- 日本学術振興会特別研究員 PD(玉川大学脳科学研究所)
- 2017年9月
- 玉川大学脳科学研究所 嘱託研究員
- 2017年4月
- 北海道大学大学院教育学研究院 専門研究員
- 2017年3月
- 北海道大学大学院教育学院 博士後期課程 修了(教育学)