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高等学術研究院教員紹介

教員詳細

國谷 紀良kuniya toshikazu
システム情報学研究科 教授
國谷 紀良

研究内容

感染症の流行動態を表す数理モデルの研究を行っています。特に、微分方程式という数式で表されるモデルに焦点を置いていますが、その数学的性質を調べることで、疫学的にも有益な知見を得ることを目指しています。例えば、免疫をもたない集団に侵入した1人の感染者が産出する新規感染者数の期待値は基本再生産数Roと呼ばれ、Ro < 1ならば流行は起こらず、Ro > 1ならば流行が起こるという判断が可能になります。私は、数学の立場から、Ro < 1ならば感染者が存在しない平衡状態が安定であり、Ro > 1ならば感染者が存在するエンデミックな平衡状態が安定であるか、などの問題に取り組むことで、モデルの性質を解明し、流行予測や政策評価などの応用へと繋げていくことを目指しています。

今後の抱負

集団に属する各個体の性別や年齢、居住地などの異質性を考慮できるように精緻化されたモデルの研究を進めていきたいと考えています。そのようなモデルによって現実に即した状況を想定することが可能になり、シミュレーションを通じて有益な疫学的知見が得られることが期待されます。また、そのようなモデルはそれ自体が数学的に興味深い研究対象であり、解析上の様々な未解決問題が残されているため、その解決を目指したいと考えています。私のこれまでの研究は主に理論に重点を置いていたのですが、今後は人流データなどを用いて、より実用的な方向にも研究を進めていきたいと考えています。そのような研究を通じて、再帰的な流行の波のような特徴的な流行現象の要因の解明や、ハイリスク集団に特化した介入の効果の検証などを行いたいと考えています。

研究略歴

2024年4月
神戸大学大学院システム情報学研究科 教授
2020年4月
神戸大学大学院システム情報学研究科 准教授
2014年4月
神戸大学大学院システム情報学研究科 講師
2013年4月
東京大学数物フロンティアリーディング大学院 教育支援員
2013年3月
東京大学大学院数理科学研究科博士後期課程修了 博士(数理科学)