タバコグサ

ウルシグサ目 ウルシグサ科

Desmarestia tabacoides Okamura

 タバコグサは薄い膜状で,その名の通りたばこの葉のような形をしており,中央部に葉脈のような中肋がある.ふつう水深5 m以深に生育するため,あまり目にすることはないが,時折砂浜などに打ち上げられている.打ち上げられたものではフクロノリハバモドキと似た外観を示すことがあるが,中肋があることで区別 できる.神戸周辺では淡路島周辺や舞子,須磨等で採集されている.ケウルシグサヘラヤハズなどと同様,細胞内に高い濃度の硫酸イオンを蓄えており,死後緑変する.

 タバコグサはワカメなどのコンブ類と同様典型的な異型の世代交代を示し,大型の胞子体と微小な配偶体の間で世代交代を行う.胞子体は比較的低水温の冬から春にかけてみられ,夏の高水温期は配偶体で越していると考えられる.コンブ類と同じような葉状(膜状)の体を作るが,きわめて裂けやすく,その構造もコンブ類が2次元的に(縦横両方向に)分裂することでじょうぶな多細胞組織(真の柔組織)を作っているのに対し,タバコグサでは偽柔組織とよばれる,細胞同士が二次的に癒合して組織を作る点で異なる.

 ケウルシグサ,ウルシグサなどの細胞内に高い濃度の硫酸を含み,傷みやすい海藻のさく葉標本を作る場合には,採集後空気中にさらさないためにたっぷりの海水をいれたポリ袋などの中に入れて持ち帰り(別 の海藻類と一緒にしない),塩抜きをしないで速やかに標本にしたほうが良い.

生態(水中)

さく葉標本

次のページへ

前のページへ

褐藻分類表へ

神戸の海藻トップへ