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Insects

コオロギ

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 「きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む」これは百人一首にある和歌のひとつで後京極摂政前太政大臣,藤原義経が詠んだ句とされている.ここで出てくる「きりぎりす」とは今で言う「コオロギ」のことで,鳴き声は昔から日本人に親しまれています.源氏物語や古今集などにも登場し,秋の夜長に相手を慕う気持ちをたとえられてきた.
 現代でも,秋の夜長にコオロギの鳴き声をよく耳にするだろう.この鳴き声は,雄のコオロギが交尾の相手となる雌を呼び寄せるために奏でる誘引歌
(calling song)である.雌は雄の奏でる誘引歌を聴くと,その音源に向かって歩き始める.これは,音源定位と呼ばれる行動である.一方,雄同士が遭遇すると,闘争(喧嘩)行動を始める.コオロギの闘争も,古くから知られており,中国では1000年以上も前から「闘蟋」と呼ばれる賭け事の対象にもなっている.闘蟋は,もともとは農民の間で始まった遊びで,後に宮中の遊びとして親しまれた.中国には,月餅という菓子があるが,この菓子の由来は闘蟋で賭けの商品として使われた餅に由来するといられている.

 研究に使うクロコオロギ
(Gryllus bimaculatus) は,沖縄の八重山地方を中心に生息している.クロコオロギは温度と湿度さえ調整してあげれば,1年中産卵し,卵から孵った幼虫は2ヶ月あまりで成虫になる.コオロギを使って,闘争行動,逃避行動,配偶行動,ロコモーションなどの研究を行います.

社会性昆虫「アリ」

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 地球上で最も繁栄している昆虫のグループは,アリやハチ,そしてシロアリなどの社会性昆虫である.アリは,数十匹程度でコロニーをつくる種もいれば,数千もの個体で構成されたコロニーをつくる種もいます.形態や行動も多様です.
 地球上で,最も速い動きをするのも,アリの仲間である.アギトアリ
(Odontomachus sp.) は,トラバサミのような大顎をを持ち,顎を大きく開いて獲物に近づき,超高速度で閉じて捕獲する.小さなアリが,どのようにして,超高速度の運動を生み出しているのか?アギトアリと使って,筋収縮の速度をはるかに上回る超高速度の運動を生み出すメカニズムについて研究しています.


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 クロヤマアリ (Formica japonica)は,日本中に分布するアリで,コロニー内には,数千個体の働きアリと複数の女王が共存する多女王生の社会性昆虫です.社会適応が実現される脳内メカニズム(神経系の設計原理)を明らかにするため,社会性昆虫における神経系の構造と機能と,単独生活昆虫のクロコオロギにおける神経系の構造と機能について比較します.