研究部門

多孔性セラミックスガス分離膜の開発

  • 吉岡 朋久

膜分離法に用いる膜の中でも無機膜は有機膜等と比較して高い透過性を示し,機械的強度,耐熱性及び耐薬品性に優れるなどの利点があります.本研究ではこの無機膜に有機キレート配位子を導入することにより細孔径を制御し,ガス透過・分離に有効な細孔を増加させる手法に取り組んでいます.有機キレート配位子としては熱に対して安定な芳香族有機キレート配位子(Organic Chelating Ligand, OCL)を用います(図1).
チタンおよびジルコニウムの金属アルコキシドを原料としてα-アルミナ多孔質管上にTiO2-ZrO2-OCL複合ゾルをコーティング・焼成(ゾル-ゲル法)することでTiO2-ZrO2複合膜は作製されます(図2).様々なガスの透過性能を測定すると,図3に示すようにTiO2-ZrO2膜と比較して,OCLを配位させた複合膜は分子ふるい性を示すことが確認され,TiO2-ZrO2-MG膜のHe/CO₂透過率比は約40倍を示しました.また,異なる構造を有する有機キレート剤を用いることにより,異なるガス透過性を示すことが確認できます.

図1 有機キレート配位子(OCL)

 

図2 チタニア-ジルコニア複合膜の電子顕微鏡写真

 

図3 チタニア-ジルコニア複合膜のガス透過性

 

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