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正浸透を利用した省エネルギー膜分離法の開発検討

近年、膜分離の駆動エネルギーを最小限に削減することを目的とし、浸透圧エネルギーを利用した正浸透膜法と呼ばれるプロセスが注目されています。正浸透膜法では、処理対象溶液と、それよりも高い浸透圧を示す駆動溶液とを半透膜を介して接触させ、それらの溶液間の浸透圧差を利用して水を移動させるプロセスです(図1)。これまでの逆浸透法において必要だった圧力ポンプの動力を大幅に削減できる可能性を持っています。特に我々は濃縮プロセスに対する正浸透膜プロセスの応用に注目し、省エネルギーな廃水からの有用資源の回収方法の開発を行っています。正浸透膜法の実現のためには、目的のプロセスに適した膜材料の開発と大きな浸透圧エネルギーを持った駆動溶液の開発が必要です。我々はアンモニア濃縮に適する膜の開発(図2)と、再利用が可能な温度応答性材料を用いた機能性駆動溶液の開発(図3)を行っています。


図1 正浸透プロセスの概念図

図2 高アンモニア阻止正浸透膜の概念図

図3 UCST型温度応答性を示す機能性駆動溶液

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