研究部門

処理水–膜界面の分子論的計測評価手法の開発

分離膜に代表されるソフトマテリアルと液体が接触するを顕微計測する手法を構築して膜工学の発展に役立てていく研究を進めている。(株)島津製作所と共同で開発した10ピコニュートン(10 pN)の力検出感度を持つ原子間力顕微鏡(FM-AFM)を使って、鉄薄膜に接する潤滑油液体の密度分布を計測した結果を図1に示す。
潤滑油(青い部分)と鉄(下方の黒い部分)の接触面に対して垂直に切りだした断面に沿って原子間力顕微鏡の針を動かして、針を押し返そうとする力の強弱を精密に計測した。明るい青で示した部分で押し返す力が強く、暗い青で示した部分は力が弱い。鉄との接触面から上方に2 ナノメーター(2 nm)程度の範囲では、青色の明暗が周期的に繰り返している。この顕微鏡画像から潤滑油液体の局所密度が鉄薄膜の近傍で周期的に変化していることがわかる。 潤滑油液体のようにとても柔らかい対象が針を押し返す力の強弱をマッピングできる特徴を活かして、処理水–膜界面における処理水や柔らかな膜材料の密度分布を計測し、先端膜の開発に役立てていく。

図1. リン酸エステルを添加したポリアルファオレフィンと鉄が接する界面の液体密度分布.

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