研究部門
センシング・創エネ応用に向けた有機強誘電体VDF系薄膜の開発
レーザーアニール法による有機薄膜の構造制御と高機能化
有機半導体材料の多くは化学構造や結晶構造に異方性を有するため、その機能性を膜中で最大限に引き出すには分子の配向・配列を制御することが重要となります。レーザーアニール法では、線状に集光したレーザー光を一方向に走査することで局所的、且つ、異方的な加熱を可能とし、膜中における分子の配向・配列を制御することができます。研究成果の一例として、奈良先端科学技術大学院大学の山田教授・葛原助教よりご提供いただきました熱変換型有機半導体材料にレーザーアニール法を適用した結果を紹介します。偏光顕微鏡観察(クロスニコル条件下)では、レーザーを走査した二方向に明視野が見られました。これは、走査方向に対して分子が高度に配向・配列化していることを示唆しています。現在、この技術を用いて有機薄膜デバイスの高機能・高性能化に取り組んでいます。

レーザーアニールによる有機半導体の配向・配列制御
有機薄膜太陽電池の高効率化に向けた薄膜構造制御
有機薄膜太陽電池は次世代太陽電池の候補の一つとして近年注目されています。有機薄膜太陽電池の発電原理は無機半導体とは異なり、励起子の電荷分離過程がエネルギー変換効率に大きく影響しますが、有機半導体中の励起子拡散長は10nm程度と短いことから、有機半導体薄膜中のナノ構造制御は変換効率に大きく影響を及ぼします。そこで、我々は、有機半導体薄膜のナノ構造制御を行い、薄膜構造評価を行うとともに太陽電池特性評価を行いその相関について検討しています。有機薄膜太陽電池の高効率化に向けた薄膜構造の提案および構造制御を目指しています。

有機薄膜太陽電池の発電原理

透過型電子顕微鏡を用いたp型・n型ポリマーブレンド膜の相分離の観察

ITO電極上での銅フタロシアニン真空蒸着膜のロッド状の成長
有機強誘電体を用いた有機人感センサ・接触センサ、振動発電素子の研究開発
焦電・圧電センサとしては、無機強誘電体PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)が多く利用されているが、鉛系材料であるために環境や人体への影響が問題視されており、現在、新規強誘電体・焦電体・圧電体の開発が精力的に進められている。本研究グループでは、非鉛系焦電材として有機強誘電体として注目されるフッ化ビニリデン(VDF)系材料を中心に、分子の電気双極子制御を基盤技術とした有機センサ(特に、人感センサ、接触センサ)、振動発電(創エネ)、分子メモリに関する研究開発を行っています。