ArCS II国際法制度研究課題

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ブリーフィングペーパー・シリーズ&プレスリリース

北極域の持続可能性を支える強靭な国際法制度の設計と日本の貢献:本研究課題は、北極域での自然環境的・社会経済的な急激な変化および地政学的な緊張に適応できる国際法制度のあり方を示し、北極域へのアクセスを計画するすべてのステークホルダーに安定と予測可能性をもたらすことを目標にしています。北極域における法の支配の維持と強化は、我が国の北極政策の支柱でもあります。本研究課題は、北極国際法政策に関する実証研究に基づき、変容する北極域の持続可能性を支える強靭な国際制度の設計図を具体化します。

国際法制度課題メンバー専用のフォーラム (2020年〜) (PWが必要)
米国の北極・南極政策と極域ガバナンスの将来(2023年3月)
第14回極域法国際シンポジウム(2021年11月)
南極と北極が神戸にやってくる(2021年11月)
第13回極域法国際シンポジウム(2020年11月)


ルールに基づく極域国際協力の再構築:極域国際法の存立基盤確立に向けた海外連携研究

北極域と南極域は、戦後のルールに基づく国際秩序の変化のバロメーターであり、中国やロシアによる地政学的挑戦の影響をダイレクトにうける地域であることが分かってきています。温暖化が全球平均の3倍以上で進む北極域や、今後の海面上昇の最大のリスクと言われる氷床融解が起きる南極域は、科学観測、資源管理等における国際協力が益々必要な地域であり、地球と人類の未来を左右しうる全人類の共通関心地域であることも明らかになりました。この両極域で起きている地政学的及び人新世的変化の兆しを適時的確に察知し、その国際法的インプリケーションを統合的に把握し、両極域に共通する基本理念とルールに基づく国際協力の基盤を再構築するための新たな「極域国際法」を提示します。北極域と南極域の国際法政策研究の蓄積を活用しつつ、両極域を統合するグローバル学術ネットワークを構築して、新たな学問分野たる「極域国際法」の存立基盤を確立を目指します。フィンランド・ラップランド大学北極センター(Arctic Centre)、タスマニア大学海洋南極研究所(IMAS)との国際連携ネットワークを活かして、北極国際法研究と南極国際法研究を繫ぎ、両極域を統合して把握する極域国際法研究の新たな潮流を作り出すことを目指します。  

国際共同研究加速基金(海外連携研究)(2023-2028年度)。概要はこちら


人新世における南極条約体制のレジリエンス研究

本研究は、国際法制度のレジリエンス (resilience) のあり方を、国際法を中心とした法学的知見と地球科学を中心とした自然科学的知見を連携させた社会自然科学的手法 (social natural sciences)を駆使して分析し、新たな国際法学術体系の開拓を目指す研究プロジェクトです。地球システムと人類社会システムが一体化する人新世下での法学研究は、人類社会のコントロール外にある事象も考慮にいれ、従来の法学の経験知を越える知見を取り込む必要があります。本研究は、そのモデルケースとして、人新世的痕跡が著しい南極地域を、全人類の利益のために「平和及び科学に貢献する自然保護地域」に指定した南極条約体制(Antarctic Treaty System)を検討し、そこで得られた研究成果を学術図書として出版し広く公開することを目標としています。実践的には、2026年日本開催の南極条約協議国会議(ATCM)への政策提言書をまとめることも計画しています。

なお、審査結果の所見(公開)では、次の通り講評されています。
「本研究は、地球システムと人類社会システムが一体化する人新世下での法学研究がいかにあるべきかという問題意識の下、モデルケースとして南極条約体制(ATS)を取り上げ、ATSがシステム外の人新世的圧力や地政学的圧力に対して適応して本質部分を保ちつつ持続し進化できることを、社会自然科学的手法を用い、法学系と自然科学系の研究者の双方を含む研究体制で、検討しようとするものである。100年先の南極の姿を自然科学の力を借りつつ構想しながらATSを検討するスケールの大きさから、研究の挑戦性を高く評価する。例えば主権国家からなる伝統的な国際法学体系への変革という国際法学への貢献のみならず、法学研究一般のあり方へのインパクトも見込まれる。また、関連するテーマに関する研究代表者らの従来の検討や人的ネットワークを活かした研究体制、計画の下、研究の実現可能性が高く見込まれる点も評価する。」

 

南極国際動向研究会専用フォーラム(2018年〜)(members only)
米国の北極・南極政策と極域ガバナンスの将来(2023年3月)
変化する国際情勢と南極協力のゆくえ(2022年12月)
SCAR総会パネルセッションその1(2022年8月)
SCAR総会パネルセッションその2(2022年8月)
SCAR 人文社会科学常設委員会研究大会(2021年11月)
南極と北極が神戸にやってくる(2021年11月)
南極条約60年と日本、そして未来へ(2021年6月)

科学研究費挑戦的研究(開拓)(2021-2025年度)。概要はこちら


南極をめぐる科学と国際動向を考える研究会 (2018〜 )

研究会の契機となった
Nature誌の記事

南極をめぐる科学的・法政策的な諸課題が山積する中で、これらに効果的に対応するために、社会科学と自然科学の研究者の緊密な連携の下に本研究会(南極国際動向研究会)を立ち上げました。この研究会では、南極の各政策に関わる省庁関係者にも参画してもらい、ざっくばらんに意見交換し、諸課題に関する共通理解を促し、その対応策について検討します。日本における南極研究全般の底上げのため、また南極科学/国際動向を俯瞰できる人材/研究の推進のため、若手研究者の参加を特に奨励しています。

研究会メンバー専用のフォーラム を設置しております。(PWが必要です)


三菱財団助成事業「南極のあるべき将来像」(2020-23)

助成者インタビュー

本研究では、日本が南極ガバナンスでリーダーシップをとることになる2026年日本開催の南極条約協議国会議(ATCM)を念頭に、気候変動の影響を大きく受ける南極と、中国の台頭やロシアによるウクライナ侵略等の地政学的変化に揺れる南極条約体制が抱える諸課題を精査し、その解決に向けた政策提言を、国際法学と国際関係論による分析を中心としつつ、南極の現場で科学観測活動を続ける自然科学研究者や南極設営関係者の意見も踏まえ、また海外の専門家によるピア・レビューを経て、提示することができた。国内的には南極国際動向研究会での議論、国際的には、国際シンポジウムやセミナーでの海外専門家との議論により、この提言案をより説得力あるものにすることができた。

その結果、2026年日本開催のATCMに向けた南極ガバナンスのあり得べき方向性に関する提言は、以下の4点にまとめられる。
1.最重要課題となっている南極海洋保護区への対応のためATCMとCCAMLRとの統合的対応の必要性
2.南極条約体制の「強み」である透明性(transparency)、開放性(openness)、そして科学的根拠に基づく政策決定(science-based decision making)の再確認と強化
3.南極条約体制におけるコンセンサス手続の適切な運用
4.南極責任附属書VIの発効を目指した議論など、日本、韓国、インド、中国のアジア協議国4ヶ国の協力の推進

助成者インタビュー記事(2023年9月)
米国の北極・南極政策と極域ガバナンスの将来(2023年3月)
変化する国際情勢と南極協力のゆくえ(2022年12月)
SCAR 人文社会科学常設委員会研究大会(2021年11月)
南極と北極が神戸にやってくる(2021年11月)
南極条約60年と日本、そして未来へ(2021年6月)


北極国際動向研究会(三井物産環境基金支援事業)(2020-22)

本研究会の目的は、国際法の観点から北極の資源(例えば、石油ガス開発、中央北極海における漁業、そして航路としての北極海)の持続可能な利用を達成するための方策を、とりわけ先住民族と環境保護に注意を払いつつ、検討することにあります。また本研究会は、研究者だけではなく、北極域で資源開発活動を行う民間企業を交えて議論することを試みます。

北極を知るための国際法:助成金研究成果(2022年3月)
第14回極域法国際シンポジウム(2021年11月)
第13回極域法国際シンポジウム(2020年11月)


地球科学とグローバル政策のつなぎ方:Earth to Global Study

科学研究費基盤研究(B)特設分野研究(2018-21)。概要はこちら


北極国際法秩序の構想:科学・環境・海洋・組織

科学研究費基盤研究(B)一般研究 (2016-21)。概要はこちら