














北極域の持続可能性を支える強靭な国際法制度の設計と日本の貢献:本研究課題は、北極域での自然環境的・社会経済的な急激な変化および地政学的な緊張に適応できる国際法制度のあり方を示し、北極域へのアクセスを計画するすべてのステークホルダーに安定と予測可能性をもたらすことを目標にしています。北極域における法の支配の維持と強化は、我が国の北極政策の支柱でもあります。本研究課題は、北極国際法政策に関する実証研究に基づき、変容する北極域の持続可能性を支える強靭な国際制度の設計図を具体化します。
国際法制度課題メンバー専用のフォーラム を設置しております。(PWが必要です)
本研究は、国際法制度のレジリエンス (resilience) のあり方を、国際法を中心とした法学的知見と地球科学を中心とした自然科学的知見を連携させた社会自然科学的手法 (social natural sciences)を駆使して分析し、新たな国際法学術体系の開拓を目指す研究プロジェクトです。地球システムと人類社会システムが一体化する人新世下での法学研究は、人類社会のコントロール外にある事象も考慮にいれ、従来の法学の経験知を越える知見を取り込む必要があります。本研究は、そのモデルケースとして、人新世的痕跡が著しい南極地域を、全人類の利益のために「平和及び科学に貢献する自然保護地域」に指定した南極条約体制(Antarctic Treaty System)を検討し、そこで得られた研究成果を学術図書として出版し広く公開することを目標としています。実践的には、2026年日本開催の南極条約協議国会議(ATCM)への政策提言書をまとめることも計画しています。
なお、審査結果の所見(公開)では、次の通り講評されています。
「本研究は、地球システムと人類社会システムが一体化する人新世下での法学研究がいかにあるべきかという問題意識の下、モデルケースとして南極条約体制(ATS)を取り上げ、ATSがシステム外の人新世的圧力や地政学的圧力に対して適応して本質部分を保ちつつ持続し進化できることを、社会自然科学的手法を用い、法学系と自然科学系の研究者の双方を含む研究体制で、検討しようとするものである。100年先の南極の姿を自然科学の力を借りつつ構想しながらATSを検討するスケールの大きさから、研究の挑戦性を高く評価する。例えば主権国家からなる伝統的な国際法学体系への変革という国際法学への貢献のみならず、法学研究一般のあり方へのインパクトも見込まれる。また、関連するテーマに関する研究代表者らの従来の検討や人的ネットワークを活かした研究体制、計画の下、研究の実現可能性が高く見込まれる点も評価する。」
科学研究費挑戦的研究(開拓)(2021-2025年度)。概要はこちら 。
南極をめぐる科学的・法政策的な諸課題が山積する中で、これらに効果的に対応するために、社会科学と自然科学の研究者の緊密な連携の下に本研究会(南極国際動向研究会)を立ち上げました。この研究会では、南極の各政策に関わる省庁関係者にも参画してもらい、ざっくばらんに意見交換し、諸課題に関する共通理解を促し、その対応策について検討します。日本における南極研究全般の底上げのため、また南極科学/国際動向を俯瞰できる人材/研究の推進のため、若手研究者の参加を特に奨励しています。
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南極は今、地球温暖化の影響で南極氷床が融解するなどの環境的課題、南極観光客が2020年シーズンには初めて5 万人を越え、南極の希少生物から得られる遺伝資源を製薬会社等が開発して商業的利益を得るなどの社会経済的課題、そして南極へのプレゼンスを高める中国の影響といった地政学的課題など、様々な挑戦を抱えています。本研究は、岐路に立つ南極のあるべき将来像につき、理想論としてでなく、南極観測の現場を知る科学者からの知見を踏まえつつ、南極活動をめぐる関係政府・企業・研究機関などの現実の利害関係を国際法、国際関係論、資源管理論を駆使して実証的に分析し、あるべき南極の将来像を実践的に実現しうる南極政策の選択肢として学術的に提示します。この研究成果は、2025 年に日本で開催される予定の南極条約協議国会議(ATCM)に向けて提示できるように、「南極のあるべき将来像:2025 年日本開催ATCM に向けた政策提言書」として、社会実装される予定です。
本研究会の目的は、国際法の観点から北極の資源(例えば、石油ガス開発、中央北極海における漁業、そして航路としての北極海)の持続可能な利用を達成するための方策を、とりわけ先住民族と環境保護に注意を払いつつ、検討することにあります。また本研究会は、研究者だけではなく、北極域で資源開発活動を行う民間企業を交えて議論することを試みます。
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科学研究費基盤研究(B)特設分野研究(2018-21)。概要はこちら 。
科学研究費基盤研究(B)一般研究 (2016-21)。概要はこちら 。