2024年3月19日
注目を集める北極における海底ケーブルの保護についてまとめたファクトシートを発表!

昨年10月にフィンランドとエストニアをつなぐ海底ケーブルが何者かによって破損された事件は記憶に新しいかと思います。北極圏における国際政治状況が緊迫する中で、北極圏の人々の社会生活の向上にとっても、また日本と北米及びヨーロッパの間の通信状況改善にとっても、北極圏に敷設される海底ケーブルを開発維持し、それを保護することが益々重要になってきています。この度、柴田センター長が研究代表を務めるArCS II国際法制度課題は、「ブリーフィングペーパー・シリーズ」(BPS)第10号として、この問題に光を当てるファクトシートを発表しました。二人の専門家が、北極圏における海底ケーブルが直面する課題、現在進行中の北極圏横断海底ケーブルプロジェクトの現状、沿岸国の国内法および政策の現状、そして国際協力のあり方と安全保障上の課題などについてわかりやすく解説しています。北大西洋条約機構(NATO)が設置した重要海底インフラを調整する機関や、2023年7月に署名された日本とEUの海底ケーブル強靱化のための協力覚書など、最近の対応についても紹介しています。是非、ご覧下さい。プレスリリースと文書のダウンロードはこちら。
2024年2月7日
南極氷床融解防止に巨大ダム?公開セミナーで議論します!
2024年3月4日(月)15時より、PCRC主催、南極国際動向研究会共催にて、公開セミナー「南極における雪氷ジオエンジニアリングのガバナンス」を開催します。報告者に、国際関係論がご専門のパトリック・フラム博士、コメンテイターに海氷専門家で北海道大学低温科学研究所の青木茂教授をお招きし、このセミナーでは、温暖化による海面上昇を防止する技術として、今科学界で話題になっている巨大ダムのような人工的な氷床保存装置に関する議論を紹介し、そのような技術を南極氷床に適用することの政治的法的リスクをガバナンスの観点から考察します。セミナー後のレセプションでは、南極から取り寄せた南極氷と共に飲み物をご用意しております。このセミナーは公開ですが、事前の登録をお願いしています。ご参加を希望される方は、2月29日(木)までにご登録ください。詳細はフライヤーをご覧ください。
2024年1月29日
ドイツの国際関係論研究者、フラム客員准教授との南極ガバナンス国際共同研究が始まります!

フランクフルト平和研究所のパトリック・フラム博士が、神戸大学国際共同研究強化事業C型プロジェクト「ロシアによるウクライナ侵略後のルールに基づく国際秩序の在り方に関する異分野共創研究」の下で、客員准教授として、1ヶ月半PCRCに滞在します。滞在中、南極における雪氷ジオエンジニアリング(最近のNature誌のニュース記事参照)や、より包括的に南極ガバナンスの地政学的変化をフラム博士が提唱する「Co-opetition(協力と競争)」という理論枠組で考察することなどにつき、柴田センター長と共同研究を進める予定です。
2024年1月25日
柴田センター長が、義務教育学校八多学園にて南極講演を行いました

1月24日、神戸市北区にある神戸市立義務教育学校八多学園の小学4年生から中学3年生向けに、柴田センター長が「国際法学者、初めて南極に立つ 南極の環境と平和を、どう守る?」と題して講演を行いました。講演では、2016-17年の南極地域観測隊に同行した際の動画や写真をふんだんに使いつつ、国際法を研究する柴田センター長が、なぜ南極に行ったのか、なぜ外交交渉の現場に立つのかなど、南極国際法研究の面白さと奥深さについて話しをしました。生徒さんからは、「国際法、興味がわきました。コンセンサスで決める理由も納得しました。」とのアンケート結果もいただきました。本企画は、日本極地研究振興会が支援している講師派遣制度を活用して行われました。
2024年1月22日
トルコの研究者と柴田センター長の共著によるトルコの北極ガバナンスへの関与に関するブリーフィングペーパー・シリーズ第9号が発行されました

国際法制度課題がArCS IIにおける研究成果を広く社会に還元することを目的として発行している「ブリーフィングペーパー・シリーズ」(BPS)第9号「トルコの北極ガバナンスへの関与:その歴史と今後の展望」が発行されました。この第9号は、トルコ共和国・アンカラ大学法学部のナッシ・サープ・エルグーヴェン助教と柴田センター長の共著によるもので、非北極圏国であるトルコが北極科学と北極外交に積極的に関与するようになってきている現状と、これまでの歴史的背景や極域科学研究などについて解説しています。またトルコは、北極に関する長期的な目標を掲げており、この過程において、スヴァ―ルバル条約への加盟は間違いなく重要な転換点となるとも指摘しており、興味深い洞察を含んでいます。是非、ご覧下さい。プレスリリースと文書のダウンロードはこちら 。
2023年12月29日
柴田センター長が招待編集者となるAntarctic Science誌特別号が投稿をお待ちしています

2022年から若手研究者Yelena Yermakova氏(現在、米国プリンストン大学研究員)と Rebecca Hingley氏(現在、オーストラリア南極局職員)と企画されてきた雑誌特別号企画 The policy-law-science nexus in the Antarctic が、この度、ケンブリッジ大学出版会から発刊されているWeb of Science誌、Antarctic Scienceに掲載されることになりました。これはSCAR人文社会科学常設委員会(SC-HASS)の特別号のサブセクションとして位置づけられています。この特別号には、すでにZia Madani氏と柴田センター長との共著論文が掲載されており、若手研究者による論稿を含め、多くの投稿をお待ちしています。特別号サイトはこちら 。
2023年12月27日
南極シンポジウム「コウテイペンギンから考える 新・南極ガバナンス」の全編を収録したYouTube動画が公開されました!

このシンポジウム動画では、地球温暖化による南極海氷減少のペンギンへの影響がその種類や生息地域によっても違いがあること、減少傾向にあるコウテイペンギンを特別に保護しようとする試みが中国などの反対で難しい局面を迎えていること、そして国際法を駆使した外交力によっていかに南極ガバナンスを立て直していけるかなど、生態学者の渡辺佑基教授、国際法学者の柴田センター長、そして現役外交官の中村和彦外務省国際法局審議官などによる白熱した議論が展開されています。カットなしのシンポジウムの様子を、是非こちらのホームページからご覧下さい。
2023年11月13日
南極環境責任に関する国際ワークショップ(12月1日開催)の参加登録を開始しました!
PCRCでは、「南極ガバナンスの今後」と題した国際ワークショップを2023年12月1日(金)15:00より神戸大学で開催します。本ワークショップは、神戸大学国際協力研究科にて対面形式で開催されます。アジア4か国の法律家および政策専門家が神戸に集まり、南極条約および環境議定書の下での南極ガバナンスの将来について議論します。是非ご参加ください。Zoomウェビナーでの配信も予定しています。参加、視聴をご希望の方は、フライヤーをご覧いただき登録方法を確認のうえ、ご登録ください。このフライヤーはワークショップ開始まで定期的に更新されます。
2023年11月7日
柴田センター長の南極観光とコンセンサスに関する共著論文がアメリカ国際法雑誌に掲載されました!

柴田センター長と同大学客員教授として神戸大学に滞在していたこともあるKees Bastmeijier教授との国際共著論文が「アメリカ国際法雑誌(American Journal of International Law)」に掲載されました。本論文は、Kees Bastmeijier教授や米ウィルソンセンターのEvan Bloom上級研究員など、これまでPCRCが招へいし、共同で南極条約研究を進めてきた成果をまとめました。ATCMにおけるコンセンサス決定の意義とその課題や、その決定過程について論述がなされており、その歴史と背景を詳細に検討する上で重要な学術的成果であるだけでなく、今後の南極観光活動規制に関するATCMのコンセンサスに基づく意思決定の難しさと解決策など、政策議論をも左右しうる内容となっています。国際法と国際関係に焦点を当てた英語の学術雑誌であり、国際法専門誌としては世界最高峰の雑誌に掲載された本論文は、重要かつインパクトの高い研究成果として注目されています。
◦DOI: 10.1017/ajil.2023.34
◦Wilson Centerによる紹介文 Wilson Center's annoucement
2023年11月6日
南極公開シンポジウム「コウテイペンギンから考える 新・南極ガバナンス」の参加登録受付を開始しました
来る12月2日(土)に神戸大学において開催する第3回南極公開シンポジウム「コウテイペンギンから考える新・南極ガバナンス」のホームページを公開しました。参加登録の受付を開始しております。現地参加定員は30名となっておりますので、ホームページでご確認のうえ、11月24日(金)までにシンポジウム事務局までご連絡下さい。なお、ZOOMウェビナーでのライブ視聴も可能で、事前登録は11月30日(木)まで受け付けています。皆様のご参加をお待ちしております。
南極公開シンポジウムHP:
https://www.research.kobe-u.ac.jp/gsics-pcrc/antarctic_symposium2023/
2023年10月10日
特集「ロシアによるウクライナ侵攻と極域国際協力のゆくえ」が南極と北極の総合誌『極地』に掲載されました

稲垣治PCRC研究員がゲストエディターとして企画した特集「ロシアによるウクライナ侵攻と極域国際協力のゆくえ」が、一般読者向けに南極・北極での最近の新しい動きをわかりやすく伝える総合誌『極地』第59巻第2号(2023年9月)に掲載されました。この特集の目的は、2022年2月に開始されたロシアによるウクライナ侵攻が、南極と北極の国際協力、すなわち南極条約体制、南極における観測活動、北極評議会、北極先住民族組織、中央北極海無規制公海漁業防止協定などに対して与えた影響やその見通しを分析することにあります。本特集は、国際法学をはじめとするの専門家による7編の論文から構成されています。
2023年10月5日
柴田センター長とArCS II国際法制度課題メンバーが、2023 Arctic Circle Assemblyと第16回極域法シンポジウムで研究報告を行います

柴田センター長は、ArCS II国際法制度課題のメンバーである西本教授(東北大)、小坂田教授(中央大)、小島教授(中央大)、小林教授(小樽商科大)、そして若手研究者メンバーの稲垣研究員(神戸大)と鈴木氏(マギル大博士課程)と共に、また海外研究協力者であるKoivurova教授(ラップランド大)、Johnstone教授(アクレイリ大)、Shin副所長(KOPRI)、Flamm研究員(フランクフルト平和研究所)と共同で、アイスランド・レイキャビックで開催される2023年Arctic Circle Assembly (10月19-22日) とフェロー諸島トースハンで開催される第16回極域法シンポジウム(10月25-28日)において、セッションを立ち上げ、研究報告を行います。日本の国際法研究者がこれだけの数で両会議に参加するのは、恐らく初めてでしょう。柴田センター長は、加えて、アクレイリ大学極域法修士プログラムにて、北極及び南極ガバナンスにおける日本の貢献について、10月16日(現地)と11月27日(オンライン)で講義を行います。
2023年10月2日
南極公開シンポジウム「コウテイペンギンから考える 新・南極ガバナンス」を12月2日に開催します
2026年春に日本で開催される南極条約協議国会議(ATCM)にむけて、PCRCでは南極条約に関する公開シンポジウムを、毎年開催しています。第3回となる今回の主役は「コウテイペンギン」です。地球温暖化の影響で南極の氷が消失し、コウテイペンギンの繁殖が壊滅的影響を受けています。この問題を解決に導くために南極ガバナンスはどうあるべきか? 外交、生物学、国際法学の専門家が徹底的に議論します。現地参加希望は、早めにシンポジウム事務局までご連絡下さい。詳細及びプログラムはこちらからご覧いただけます。
2023年9月29日
柴田センター長のインタビュー記事「南極の未来のために、日本が果たすべき役割を考える」

柴田センター長は、三菱財団の助成を受けた研究者として「Challenges for Future: 助成者インタビュー」を受け、9月29日三菱グループホームページにその記事が公開されました。インタビューの中で、「南極国際法」を研究テーマとして取り上げ、取り組むことになったきっかけ、国際法学者として初めて南極に赴くことになった経緯から、南極のために日本が果たすべき役割について、説明をしています。また、2026年に日本で開催されるATCMについても言及しています。インタビュー記事はこちらからご覧いただけます。
2023年9月1日
Kees Bastmeijer教授が神戸大学に客員教授として滞在されます。

神戸大学国際共同研究強化事業C型プロジェクト「ロシアによるウクライナ侵略後のルールに基づく国際秩序の在り方に関する異分野共創研究」の下で、オランダ・フローニンゲン大学のKees Bastmeijer教授を客員教授として1ヶ月間お迎えします。Bastmeijer教授は、自然保護と極域環境保護に関する国際法研究の専門家であり、毎年南極条約協議会(ATCM)にオランダ代表団の一員として参加しています。滞在中は、南極観光規制に関する共著論文の完成や南極ガバナンスにおける法政策と科学的知見の連携などにつき、柴田教授と共同研究を行います。
写真:兵庫県豊岡市にある小田井縣神社にて
2023年8月10日
柴田センター長が米国East-West Center主催の2023北太平洋北極会議に参加します

柴田センター長は、米国議会が設置したシンクタンク、East-West Center(EWC)と韓国海洋研究所(KMI)とが共催する2023年North Pacific Arctic Conferenceに招待され、8月16日〜18日の日程でEWCが本拠を置くハワイ州ホノルルにて、「北極ガバナンス:激変の中をどう進むべきか」と題する議論に参加します。柴田センター長は、その中でも北極科学外交に関するセッションでプレゼンを行い、世界中から集まった政府関係者、研究者、専門家、そして先住民族の代表者達と議論を交わします。柴田教授は、条約ベースで設置された北極科学協力の制度につき、北極科学協力協定や中央北極海漁業協定などを題材にしながら、南極条約とも比較しながら分析を行います。プログラムの詳細等は、EWCのホームページをご覧下さい。
2023年8月4日
柴田センター長が登壇する南極ガバナンス・セミナー動画が米国ウィルソンセンターから公開されました
2023年6月12日
柴田センター長の極域国際法研究が、神戸大学のSDGs取り組みで取り上げられました!

神戸大学では、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラル(CN)実現に向けた取り組みに貢献する研究を紹介しています。柴田センター長へのインタビュー記事は、「科学のフロンティアを扱う国際法 ―「地球を知る」ための極域研究」の表題で特集されており、極域での科学研究の推進や環境保全のための国際法は、SDGs全体に関わってくるとしたうえで、SDGs達成への課題、CN取り組みに欠けているもの、地球規模の課題解決に向けた極域研究のニーズの高まりについても触れています。
2023年5月15日
ヘルシンキATCM期間中に開催される南極シンポジウムを神戸PCRCが共催し、柴田センター長が講演します!
5月29日からフィンランド・ヘルシンキで第45回南極条約協議国会議(ATCM)が開催されます。その初日に、フィンランド外務省、ラップランド大学、米国ウィルソンセンター、そして神戸PCRC共催の公開シンポジウム「南極の今:地球最後のフロンティアにおける科学及び環境保護の課題」が開催され、その中の学術セッション「環境保護議定書25年と条約体制の課題」において、柴田センター長が南極法政策立案における科学及び科学的証拠の重要性について講演します。コイブロヴァ教授が座長、バステマイヤー教授とブルーム上級研究員が他のスピーカーで、神戸PCRCの2022年度同窓会さながらのパネルになっています。現地時間14時(日本時間20時)頃の登壇予定で、ライブストリームされます。詳細は画像をクリックして、プログラムをご覧下さい。