南極

活動記録

南極の科学と国際動向を考える研究会

趣旨

南極をめぐる科学的・法政策的な諸課題 が山積する中で、これらに効果的に対応するために、社会科学と自然科学の研究者の緊密な連携の下に本研究会(南極国際動向研究会)を立ち上げ、ここに南極の各政策に関わる省庁関係者にも参画してもらい 、ざっくばらんに意見交換し、諸課題に関する共通理解を促し、その対応策について検討する。日本における南極研究全般の底上げのため、また南極科学/国際動向を俯瞰できる人材/研究の推進のため、若手研究者の参加を特に奨励する。

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最終更新日:2021年6月9日


南極条約発効60周年記念公開講演会「 南極条約60年と日本、そして未来へ」
日時:2021年6月9日(水) 13:30〜16:15
場所:オンライン開催(事前登録制)
詳細: ホームページをご覧ください。

13:30 開会 ・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・  室山哲也
13:40 「南極条約60年:その意義と将来の課題」・・・・・・・・  柴田明穂
14:00 基調講演「南極における法の支配」・・・・・・・・・・・ 岡野正敬
14:30 コメントと質疑「国際関係からの視点」・・・・・・・・・ 都留康子
14:50 「南極からのメッセージ」 ・・・・・・・・・・・・・・・  中山由美
15:10 「南極条約下での日本の南極観測と科学研究」 ・・・・・・  中村卓司
15:30 「国際協力で進む南極のペンギン生態研究」 ・・・・・・・  高橋晃周
15:45 ディスカッション、聴衆からの質問   ・・・・・・・・・・ 室山哲也/全員
16:15 閉会

過去の研究会



Wilson Center Polar Institute主催オンラインセミナー: 2021年4月6日(火)2:00-4:00(日本時間) 
テーマ:
「南極環境の保護:バイデン政権の優先課題は何にすべきか」
・・・柴田明穂 気づきの点及び本研究会への示唆


第10回研究会:2021年1月28日(木)15時〜17時
報告者・テーマ
「2人の隊長が語る日本の南極地域観測事業の現状と課題」
・・・原田尚美 JAMSTEC地球環境部門 地球表層システム研究センター長、第60次JARE夏隊長
・・・青木茂 北海道大学低温科学研究所・准教授、第61次JARE隊長
(資料:非公開)


第9回研究会:2020年10月16日(金) 15:00〜17:30
報告者・テーマ:
「変化する世界の中の南極条約」2019年ロシア作業文書の分析
・・・・・柴田 明穂 (神戸大学・PCRCセンター長)
気候変動への南極条約体制の対応:現状と課題
・・・・・木村 ひとみ(大妻女子大学・准教授)
南極における非政府活動に対する管轄権の問題について
・・・・・鹿兒島 祐介(筑波大学 大学院 人文社会ビジネス科学学術院)


第8回研究会:2020年9月28日(月)15:00~17:00 
報告者・テーマ:
・日本の南極地域観測事業:現状と課題【資料1】【資料2】
・・・・・小野寺 多映子氏(文部科学省研究開発局海洋地球課・課長補佐)


第7回研究会:2020年7月31日(金)15:00~17:00 
報告者・テーマ:
最近の南極条約協議国会議(ATCM)の諸課題について/
・・・・・岩崎敦志(外務省地球環境課・上席専門官)


第6回研究会:2020年1月10日(金)15:30~17:30、情報システム研究機構会議室 
報告者・テーマ:
SCARの「南極条約体制に関する常設委員会(SC-ATS)」について/
第38回南極海洋生物資源保存委員会(CCAMLR-38)について

・・・・・高橋晃周(極地研・SC-ATS委員・CCAMLR-38日本政府代表団員)
コメンテーター:森下丈二(東京海洋大学)


公開国際ワークショップ(スピンオフ研究会):
南極条約体制の強靭性、南極におけるPolicy-Law-Science Nexus特別セッション

日時:2019年12月3日(火) 14:00〜18:00
場所:オーストラリア・タスマニア州ホバート IMAS会議室
報告者:
稲垣治・橋田元「DROMLANと南極条約体制」
幡谷咲子・柴田明穂
「南極ドームAの中国Kunlun基地及び周辺ASMAないし行動綱領提案の法的意義」
詳細はこちら


第5回研究会:2019年9月20日(金)15:30〜17:30、国立極地研究所(立川)3階会議室 
テーマ:南極バイオプロスペクティング
1.ATCM42における南極におけるバイオプロスペクティングに関する議論
・・・伊村 智(国立極地研究所)
参考:観測隊が採取した南極産酵母が産業利用
2.南極bioprospectingをめぐるATCMの議論:今後の対応への示唆
・・・・・柴田明穂(神戸大学)
参考: Final Report of 42 ATCM (preliminary, 2019)
3.フリー・ディスカッション(60分)・・・・・・・・・・・・・・・参加者全員


公開スピンオフセミナー@札幌
日時:2019年8月6日(火)16:00〜18:00
場所:北海道大学低温科学研究所 講義室2F 215号
報告者及びテーマ
・柴田明穂「研究会の趣旨/2018年Nature誌南極特集号のショック」(30分)
・青木 茂「日本の南極海観測の課題と次期砕氷船への期待」(30分)
・フリーディスカッション(60分)

<参考資料>
・Nature誌「Reform the Antarctic Treaty
・国立極地研究所「南極みらいビジョン2034」「南極地域観測将来構想(2019年5月)


スピンオフ公開研究会
7月12日(金)17:00〜18:30、神戸大学国際協力研究科

報告者:Donald Rothwell, Professor, Australian National University
報告テーマ:Dispute Settlement under Antarctic Treaty System


第4回研究会:2019年6月6日(木)15:30〜17:30、情報・システム研究機構会議室 
テーマ:第42回ATCM(7/1-11、チェコ)をめぐる南極の科学と国際動向の最新状況

1.第4回研究会のねらい
2.南極における無人航空機の使用について、その他・・・藤原淳一・安生浩太(環境省)
3.南極バイオプロスペクティングについて・・・・・・・・伊村 智(国立極地研究所)
4.協議国資格承認基準の今後の運用/2025 ATCM(開催予定地:日本)
のアジェンダを予想する
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・柴田明穂(神戸大学)
5.フリー・ディスカッション(60分)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・参加者全員
6.今後の研究会について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・柴田明穂・伊村 智


SCAR人文社会科学常設委員会研究大会:2019年4月3−5日(アルゼンチン・ウシュワイア) 
「南極条約体制の強靭性」及び「南極における政策・法・科学の連関(PoLSciNex)」に関する国際研究プロジェクトにつき研究発表。詳細はこちらの英語ページをご覧下さい。


第3回研究会:2019年3月14日(木)14:30〜16:30、情報・システム研究機構会議室 
テーマ:IGYから60年を経た南極の基地と輸送-大規模リノベーション・新基地建設・新砕氷舶建造・航空網拡充-

1.第3回研究会のねらい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・柴田明穂
2.IGYから60年を経た南極の基地と輸送-大規模リノベーション・新基地建設・新砕氷舶建造・航空網拡充-・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・橋田 元(国立極地研究所)
3.南極基地とアクセスの国際法政策的側面
3.1:南極航空網と南極条約体制:DROMLANを例に・・・・・・・・・・稲垣 治
3.2:南極基地をめぐる国際法政策的インプリケーション:特に中国の動向を中心に
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・柴田明穂
3.3:事例分析:中国による崑崙Dome A基地周辺に特別管理地区を設置する提案
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・幡谷咲子
4.フリー・ディスカッション(60分)・・・・・・・・・・・・・・・・参加者全員
5.今後の研究会について・・・・・・・・・・・・・・・・・・柴田明穂・伊村 智


第2回研究会:2019年1月18日(金)15:00〜17:00、情報・システム研究機構会議室 
テーマ:海洋保護区(MPA)を中心とした南極海洋生物資源保存条約/委員会(CCAMLR)の動向について
(報告者)
1.第2回研究会のねらい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・柴田明穂
2.CCAMLRにおけるMPA設立をめぐる議論について・・・・・・・・・森下丈二
3.南極のMPAをめぐる多国間交渉:その説明要因を考える・・・・・大久保彩子
4.CCAMLRにおける「合理的な利用」の解釈とMPA設立問題・・・・・稲垣 治
5.フリー・ディスカッション(60分)・・・・・・・・・・・・・・・・・参加者全員
6.今後の研究会について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・柴田明穂・伊村 智


公開国際ワークショップ(スピンオフ研究会):南極条約体制の強靱性
日時:2018年12月19日(水)、9:30〜12:30
場所:神戸大学大学院国際協力研究科(GSICS)6階 シミュレーション・ルーム
言語:英語(通訳はありません)

(プログラム)
1.Why “The Resilience of the Antarctic Treaty System” today?: Aim of the project
Julia Jabour, IMAS, University of Tasmania, Australia
Akiho Shibata, PCRC, Kobe University, Japan
2.How Do We See the Future Challenges of ATS?
Luis Valentin Ferrada, University of Chile, Chile
Jill Barrett, Queen Mary, University of London, United Kingdom
Kees Bastmeijer, Tilburg University, The Netherlands
3.Discussion
Nigel Bankes, University of Calgary, Canada
Rachael Lorna Johnstone, University Akureyri, Iceland


第1回研究会:2018年10月18日(木)15:00〜17:00、情報・システム研究機構会議室 
(報告者)
1.研究会の進め方・趣旨説明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・柴田明穂
2.南極海洋生物資源をめぐる「懸念」?-国際法の観点から・・・・・來田真依子
3.国際法から見た南極をめぐる科学-Nature誌が示唆する諸問題・・・・本田悠介
4.フリー・ディスカッション(60分)・・・・・・・・・・・・・・・・・参加者全員
5.今後の研究会について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・柴田明穂・伊村 智

 

 

イベント・成果報告


2021年6月25日

南極条約発効60周年を記念するオンライン公開講演会を開催しました。

2021年6月23日、南極条約は発効60周年を迎えました。この機会を利用して、神戸大学PCRCと国立極地研究所が共催して、オンライン講演会「南極条約60年と日本、そして未来へ」を6月9日に開催しました。 司会と講演者は東京都立川にある国立極地研究所に集まり、臨場感溢れるディスカッションも含め、ライブ配信にて一般公開しました。講演会専用HPでは、一部加工した講演ビデオがYouTubeにて視聴できるようになっています。

この講演会は柴田・PCRCセンター長が企画し、2018年10月から続けてきた「南極をめぐる科学と国際動向を考える研究会」の成果も踏まえ、地球温暖化や国際政治状況が変化する中での南極条約体制が抱える課題につき、外交官、国際法学者、国際政治学者、新聞記者、そして南極観測を実施する研究者がさまざまな角度から検討するものです。2026年には、日本が南極条約協議国会議(ATCM)をホストして、これら課題の解決にリーダーシップを発揮することが求められており、極めて時宜を得た講演会及びディスカッションになりました。司会は、元NHK解説主幹の室山哲也氏にお願いし、外務省国際法局長(当時)の岡野正敬氏が基調講演「南極における法の支配」を行いました。(三菱財団2020年度大型連携研究特別助成支援事業)

国際法の観点から、神戸大学の柴田明穂教授は、全会一致制に基づく南極条約体制の正当性と実効性の課題、これまでの科学的利用中心の価値から原生地域として今のままに南極を残しておく価値をも認める必要性等につき問題提起しました。外務省の岡野正敬局長は、南極条約体制は最も成功したマルチ条約の一つであり、現段階では南極条約体制において改正の動きや環境保護をめぐる対立などは見られないものの、議論する場合には南極の現場における国家間の関係性を考慮しながら検討することの重要性について語られました。国際関係論が専門の上智大学・都留康子教授は、いずれの国際ガバナンスも静的・永続的ではなくメンテナンスが必要であることを指摘しつつ、その中での日本の調整役としての役割に期待が表明されました。都留教授からの質問に対して、岡野局長は、国際社会におけるリビジョニスト・パワーが問題にはなっているが、南極条約体制は安定しており、それを覆すのは容易ではないと語り、先手を打つ側の行動がかえって対立を生むことにならないよう、現場を見ながら慎重に進める必要があるとの見解を述べました。

過去3回南極に滞在した経験を持つ朝日新聞の中山由美氏は、記者として、現地での取材や映像をもとに、南極基地における科学調査や国際協力体制について紹介しました。国立極地研究所所長の中村卓司教授は、南極条約の下で行われてきた日本の南極観測の成果と意義について報告を行い、南極観測は科学者のイニシアティブによって成り立っており、その科学的成果と国際協力によって日本のプレゼンスを発揮できる場であると述べました。英国隊や韓国隊と南極における国際共同研究を行ってきた国立極地研究所・高橋晃周准教授は、南極科学における国際協力の重要性について語り、その科学的成果が例えば南大洋における海洋保護区設置といった政策的議論にも貢献していることが紹介されました。

その後のパネルディスカッションでは、一方で、南極観測活動に従事する科学者やそれを取材した記者からは、南極での科学研究のしやすさが南極条約の成果であり、平和利用・科学調査を保護する南極条約の精神が現場で実感できると語られました。他方で、国際社会の力学や南極に関心を示す国が増えている状況変化を分析する国際政治学・国際法学の立場からは、協議国と非協議国間の対立構造や増え続ける基地設置の功罪などに懸念が出ていることが語られました。司会の室山氏は、この南極条約に対する認識の違いこそが現状を的確に現しており、今回のようなハイブリッドな(自然科学と法政治学の)議論を続けることによってこの認識の「隙間」を埋めることの重要性を指摘しました。さらに、南極条約をATCMなどの場で議論する外交官や国際法学者、南極条約の下で観測活動を行う研究者に加えて、観光やメディアを通じて南極に関心を示す一般市民の存在も忘れてはならず、この三者の認識をうまく「化学反応」させて、1つの方向に向けて、5年後のATCMに臨む必要があることも指摘されました。


 

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